秋月キット 「ガイガー・カウンタ」


11/03/12の福島第1原発の爆発事故を受けて、昔作った秋月キット「ガイガー・カウンタ」を引っ張り出してきました。

取説には、「1分間に1回程度 "ピッ" とブザが鳴る」と有りましたが、しばらく電源を入れたままにしても ほとんど鳴らなかったので そのまま放置していました。
3/19に十数年ぶりに発掘して 電源を入れてみると、1分間に3〜4回はブザが鳴ります。この辺にも 放射性物質が漂っているようです。



※前橋市の空中の放射線量は3/20の時点で0.074uSV/h。過去の平均値は0.019uSV/hなので 約4倍の放射線量ですが、人体には影響の無いレベルのようです。
最大値(0.56uSV)を記録した3/15から3/26までの放射線量を合計してみましたが、トータル 約30uSVでした。
前橋よりはやや高い値を示す宇都宮市でも トータルは約50uSVです。

飛行機に乗って 成田⇔ニューヨーク間を往復すると 約200uSVの放射線を受けるそうなので、それと比較してもかなり少ない量です。




とは言っても、原発の爆発事故なのでどんな状況か気になります。
そこで、発表されている放射線量をいくつか集計してみました。

−グラフ1:前橋市・宇都宮市の放射線量−

グラフ1は 前橋市と宇都宮市の放射線量のグラフです。
3/15にピークが来て その後 徐々に下降しています。
立ち上がりの差は 原発からの距離の差でしょうか。また、ピーク値も距離に応じて 前橋の方が低くなっています。


目を原発近くに向けて、福島県内の放射線量も集計してみました。

−グラフ2:福島市・南相馬市・いわき市・高萩市の放射線量−

さすがに原発に近いだけあって 放射線量が多くなっています(Y軸の値に注目!)。
地理的な説明ですが、
 ●南相馬市: 福島第1原発のすぐ北(約20km?)に位置し、データの応答が早い
 ●いわき市: 福島第1原発南西(約30km?)に位置
 ●福島市:  福島第1原発の北西。原発からは50km以上離れているにもかかわらず、放射線量が多い
となっています。

これら 各都市の放射線量に 報道されたトラブルを書き込んだものが グラフ3です。

−グラフ3:各都市の放射線量(トラブル日時入)−

グラフを見ると、急峻な変化がある部分と なだらかに下降する部分があることに気が付きます。
私の勝手な判断ですが、
 ●急激に上がって すぐに下がっているのは 半減期の短い「放射性のヨウ素」
 ●なだらかに下がっているのは 半減期の長い「セシウム」や「ウラン」
ではないかと思っています。

また、3/15の福島市 と 3/21のいわき市および高萩市 で数値が急に上がっている部分があります。
いろいろな事象との関連を考えてみたのですが、天気を確認したところ どちらも雨が降っているとの記録がありました。
雨により 大気中の放射性物質が地表に落とされたために 測定値が上がっているのではないでしょうか?

天気の記録を見ると 3/21は福島市でも雨が降っているのですが、放射線量は変化していません。
3/15以降の福岡第1原発からは、放射性物質の大気放出が かなり抑えられているものと思われます。
(南相馬市のデータを見ると「0」には なっていないようですが...)
原発への放水が かなりの効果をあげているのだと思いますが、今後は、海洋汚染の方が深刻になりそうです。


各データの入手先:
 群馬県の放射線量
 栃木県の放射線量
 茨城県の放射線量
 福島県の放射線量
   「原子力災害情報」の「測定結果・検査結果・福島県発表資料」の「県内各地方放射能測定値について」
 新潟県の放射線量




公開データの信憑性について (11/04/07追記)
  ※以下のグラフは、波形の比較をしやすくする為 数値に操作を加えているものがあります。
   数値そのものは 不正確な部分があるので、注意願います。
各地で公開されているデータを眺めると いろいろな差がある事に気が付きます。

1、測定位置による違い
 福島県郡山市の測定データは、途中で測定場所が変わっています。
 
 元々は合同庁舎の3階で測定していたものを 3/24の16:00から合同庁舎入口に変更しています。
 この時、測定された放射線量は 約3倍に跳ね上がっています。
 合同庁舎3階の測定では、雨の降った3月15日に「8.2uSv/h」という値を記録していますが、この比率を掛けると 地表付近の値は「24uSv/h」近くまで上昇していた事が予想されます。
 
 
 群馬県の放射線量の測定は 前橋市上沖町の衛生環境研究所のモニタリングポストで測定されていますが、群馬県の放射線量の測定結果の写真では 建物の屋上に設置されているので、地表に比べ 小さい値を表示していると考えられます。
 (外見的には3階建てくらいの建物なので 郡山市と同程度の1/3位になっていると思われます)
 (11/04/16追記)
  ※11/04/15から前橋市のサーベイメータによる測定データが公表されるようになりました。
  4/15 16:00のモニタリングポストの値が0.039uSv/hに対して、サーベイメータの値は0.135uSv/hと約3.5倍の値となっています。
 
 条件の違いを 判断する手がかりが、何か無いでしょうか?
 グラフを眺めると、場所によっては 放射線量のデータが周期的に変動している場所があります。
 
 「飯館村」、「南相馬市」、「高萩市」の3つは 朝6時頃から数値が上がり始め、夕方の5時頃から下がり始めます。
 これは、人が活動する事により埃が立ち、地表の放射性物質が舞い上がって周囲を漂っているものと考えられます。
 従って、この3箇所は 「測定場所が低い=実際に人が活動する場所のデータを表している」と思って良いでしょう。
   
 
 
 一方で、「???」と思うようなデータも散見されます。
 データを眺めると、「朝8:00頃から数値が下がり気味になり、夕方になると上がりだす」という 先ほどの例とは全く逆の変化をするところです。
   
 気象条件等で 変化している部分もあるのかもしれませんが、某米どころでは 露骨に値が変化した挙句 4月からは場所を変えたかのように 数値が低くなり、1日の変化も「日中上昇」と言う逆の動きに変わっています。
 農作物への風評被害を念頭においているのかもしれませんが、ちょっといただけないですね。
 (当然 計測場所の変化はアナウンスされていません!!)
 
 また、1週間のデータを比較したところ 平日のみデータが変化している市もあります。
 
 


2、データの相関
 福島第一原発から放出された放射性物質は 拡散しながら周囲に広がって行くので、地理的に近い地点のデータに相関が見られるのが一般的です。
 次のグラフは 雨の降った3/21前後の北関東の各都市のデータです。
 
 何故か宇都宮市だけ放射線量に大きな変化が見られません。
 しかし、大きく変化したであろう3/20の午後〜3/22の波形は その前後と比べて落ち着きがありません。
 こちらも 「大本営発表」なのでしょうか?
 
 ※ちなみに 3/19には3号機に対して、3/20には4号機に対して外部からの放水が開始されています。
  加熱した炉に水を掛けることで発生する水蒸気と共に、爆発時に周囲に撒き散らかされた塵が舞い上がる事は容易に想像されます。